「今日も彼女は現れず…か」

「こらスザク!手が止まっているぞ!」

ガラス張りの彼方を見つめ、呟く僕―枢木スザクに幼馴染のルルーシュ・ランペルージが激をとばす。
ここでの日常茶飯事だ。


ここは「ショコラ・ヴィ」
元はルルーシュの母マリアンヌさんがパン屋を経営していた店舗だ。しかし突然マリアンヌさんが『お金も貯まったし、パン屋も飽きたから世界旅行でも言ってくるわ』 と店を飛び出し、ルルーシュに押し付けて行ったのだ。
ルルーシュも最初はなにが起こったのかわからず呆然としていたが(何せイレギュラーには滅法弱い)、フリーズから溶けるとフハハハハ!と高笑いを始めた。

「ならば俺の好きなようにしてやろうじゃないか…!」

なぜか悪の親玉のような顔をして(ポーズもとっていた)、宣言通り店舗を改装し、店名を変え、パン屋をチョコレート専門店へ変えたのだった。
当時僕はそんなルルーシュを同情するように見ていたけど…。

まさかその僕がこのお店で働くことになるとは、僕自身あの頃はとても想像していなかった。

「たるんでいるぞ、スザク。お前がどうしてもここで働かせてくれと頼むから置いてやっているんだぞ!」
「反省してます…」
肩を落とす僕にこれから使うであろう真っ白いヘラをビシッと差し向け声を上げる美形の青年、ルルーシュ。
生粋のブリタニア人には珍しい黒髪に、アメジストの輝きを持った瞳、すっと通った鼻筋、形のいい唇、すべてをまとめあげるシャープな輪郭。
誰もが振り向く容姿を持った彼は僕の小さなころからの友達で、そして僕の雇い主だ。
とは言ってもまだ僕は大学に通っているのでしがないアルバイトだが、本来なら腕のある職人しか雇わないというルルーシュにこれでもかと頭を下げて無理矢理雇ってもらったのだ。

では、なぜそうまでしてここで働きたかったのかと言うと、だ。

一目惚れした人が『チョコレートが好き』と言っていたからに他ならない。
「それだけで?」と思われるかもしれない。けれども”それ”しか手がかりがなかったのだ。
僕とは違い進学せず「チョコラ・ヴィ」一筋で頑張ったルルーシュの努力の甲斐あってか、今では芸能人もたまに見かけるほどの名店になっている。
名の知れたお店ならチョコレート好きの彼女が購入にくるかもしれない、あわよくばその彼女に自分の作ったチョコレートを食べてもらい好印象を狙う、という算段だった。

だったのだが。

「やっぱりそう簡単にはいかないか…」
人生そんなには甘くない。

「当たり前だ、スザク。一口にチョコレートと言ってもカカオの原産地が違えば、味も香りも変わってくるし…」
僕の台詞を勘違いしてチョコレートの説明をしているルルーシュの話は全然頭に入ってこない。

だがしかし、 天は僕を見捨てていなかった。



そう、僕の運命は再び回り出したのだ!





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1というよりは0.5くらいの歩みですが…ここまで!

そしてお店の名前はパロ元そのままですが…
”ヴィ”がちょうどルルーシュぽくていいじゃないですかね^^;


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